私が日本語に興味を持ったのは高校生のとき。インドネシアの高校では英語のほかに外国語の授業があり、学校によって日本語、ドイツ語、中国語、フランス語などを学びます。私が進学したジャカルタの高校では、たまたま日本語が採用されていました。
小さい頃、私はディスレクシアという学習障害のために小学校4年生まで読み書きができませんでした。教科書を読もうとすると字が歪んだり逆さまに見えたりして…。でも当時のIQテストでは私の興味が「言語」にあると判定されて不思議な気持ちでした。必死に勉強して、小学校6年生までになんとか母国語であるインドネシア語と英語を学びました。
高校の外国語の授業では素敵な先生に巡り会えたこともあり、日本語の面白さにのめり込んでいきました。インドネシア語と英語はどちらもローマ字を使いますが、日本語ではひらがな、カタカナ、漢字と新たに3種類の文字を覚える必要があります。複雑で難しいと言う外国人も多いですが、私にはこれが楽しくて仕方がなかったです。
とくに興味を持った文字は漢字でした。私のなかで漢字は絵のようなイメージ。例えば「花」という漢字は、花弁があってその下に茎、葉と、そのまま花の絵のように見えます。もちろん難しさはありますし今も学びの途中ですが、もっと知りたいという好奇心が勝りますね。
「大学で本格的に日本語を学びたい」と相談したとき、両親はアルファベットすら読めなかった子が…と驚いていました。実は小学校時代に読み書きを克服できた要因の一つは、父がハリーポッターの英語版小説を読むよう勧めてくれたからでした。インドネシア語がままならないだけでなく、そもそも字が読めないのにと思いましたが、ページをめくってみたら英語の方が分かりやすく思えました。三語ずつ読んでは辞書を引いてを繰り返し、分厚い一冊をなんとか読み終えた頃には読み書きが好きになっていました。こうして父が教えてくれた言語の面白さを、大学でも突き詰めてみたかったんです。
大学では日本語の授業を受けながら、日本の学生との交流を楽しみました。私の通う大学が早稲田大学と国際交流制度でつながっていたため、インドネシア語を学ぶ学生と学内で話せる機会が多くあったんです。生の日本語に触れられたことは収穫でしたね。